07 | 2017/08 | 09

変な飲み物2 

 今、私達の目の前にはひどく挑発的な匂いを垂れ流している謎の液体が鎮座していた。誰がこのような無遠慮で刺激的な、そうまるで部屋の隅に巣食うゴキブリのようなものを招いてしまったのか?
責任者に問いただす必要がある。責任者はどこか?

――それは、数時間前の事だった……

 要りもしないレポート付きの実験と文化祭実行委員の仕事を終えた私は、足取り軽く寮へと帰っていた。それもそうだ、週末が楽しみでない人間は存在しないであろう。幾分も前から心待ちにしてたゲームの発売日を泣く泣くレポートで過ごした私は今日こそ、それを買うつもりでいたのだ。

 夕食をとり、友人と共に寮を出発した私は怪しい雲行きなぞさして気にすることもなくまずは郵便局へと向かった。余談だが、寮は化学の教員に「人間の住む所でない」と言われた事がある。ごもっともだ。

 郵便局まであと5分という所でとうとう雨が降り出してしまった。かなり本格的だ
傘を持ってきていたとしても、たかが折りたたみ傘程度で防ぎきれるものではなかった。それに自転車を漕ぎながら傘を差すのはやめよう、危ない。
大変ひどく濡れながらも郵便局へと到着した私達だったが、友人は特に何事もなく金を下ろしたので次の目的地、ホームセンターへ向かうとした。

 相変わらずの雨の中、歩く死体だか敗走した兵士の如く行軍する私に次の悲劇が襲った。
「銀行のカードが無い」
まるで追い打ちをかけられた気分である。死体なら上から聖水が、兵士なら上から迫撃砲が降り注いできたかのようだった。
この雨の中寮に帰れというのか?それはないだろう神よと言おうとしたが神の所在などおよそ知らぬ私だった。

 合流場所を「酒のやまや」に指定した私は一人で寮へと全力疾走するのであった……

~15分後~

 さらにひどく濡れ鼠と化した私は、やっとの事で金を下ろし、やまやへと到着した。店内に水を滴らせながら(店員の皆さま申し訳ない)買い物をしている私に見たことも無い飲料物が目に入った。

ルートビア


「A&W ルートビア」だった。

 何を思ったか私はこの商品に手を伸ばして籠へと放り込んでしまった。私のような好奇心旺盛な犬は光る物を集めるカラスのように、珍しい飲食物に惹かれるのであった。
そのまま買い物を続け、支払いを済ませた私達は例のゲームを買いに行くのであったが、今は置いておこう。

 そうして、今に至る。

 友人イケダダは「サロンパスの匂いがする」と述べ、友人Sは「おばあちゃんの腰につけるアレの匂いがする」と言った。どちらも食べ物どころか体に付けるものではないか。

 だがなんと言われようと、買って蓋をあけてしまったものは飲み下さねばならんだろう、たとえそれがパンドラの箱で有ろうとも……

 それでは、いただきマンモスー!!!

Go To Hell


 あれ?それ程不味くはない。むしろ何故かクリーミーな味わいが口の中に広がる。
なんだ、それほど悪くは……ない分けが無かった。
そうサロンパスや、おばあちゃんの腰につけるアレが時間差で襲ってきたのであった……
 
体に塗りたくるものや、普通のシップではないサロンパスを口に含んだ者はいるだろうか?
そんな人間とは付き合いたくないが、私は「そんな人間」の一歩手前にきてしまった。


ああ、先立つ不孝をお許しください。
三犬は立派に闘いました。


※決して、ルートビアの売上を阻害しようとしているのではないことを述べておく。飲む人が飲めばおいしいかもしれない。
 そもそも、かつてのルートビアは、アメリカ合衆国において家庭で作られる伝統的なハーブ飲料であった。
 そしてアメリカ合衆国においてルートビアは、飲料市場3%のシェアを持っており、市民にとってなじみ深い飲み物である。
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